私にとってPrideという場所は、少し大げさな言い方かもしれませんが、
『生きる意味を教えてくれた場所』
だと思っています。
思い返せば、コロナによって生活が変化してから、私は、自分の人生に希望を見出せず、生きることを諦めたくなる瞬間に多く直面しました。
死ぬ勇気もないけど生きる勇気もない、何のために生きているのかわからなくなり、鉛のように重い体を引きずりながら生活しているような感覚でした。
しかし、どんなときもPrideの仲間が、Prideで触れた音楽が、前を向く活力となり、私を大きく変えてくれました。
特に、Pride人生最後の年につくり上げた2023メインショー『Rinascere』は、私にとって特別な意味をもったショーでした。
本格的にコロナが明け、コロナ前の通常の練習スタイルが戻ってきた2023年は、まさに勝負の一年であり、いつにもまして”全国”という目標に対して部全体が執着心をもっていました。
全国大会を目指してマーチングをしていたのは、私が1年生のとき以来で4年ぶり。
自分にとって初めて挑戦する小編成のショー。数年ぶりの2学年合同執行。初心者や1年生が半数以上を占めている。そんな中で練習やチーム運営は、自分が経験してきたチームの体制やショー作りとは全く違ったため、不慣れな環境の中で悩み続けた一年でした。
さらに、49期はコロナ前の全国を目指していた時代を知っている唯一の世代。だからこそ、5年生である自分が折れてしまったらPrideが崩れていってしまうのではないかというプレッシャーやソリストという大任を任せていただいたからこそ、自分が倒れたらこのショーは完成しないんだというプレッシャーとも戦い続けました。
そんな、悩み多き一年でしたが、私に訪れた2度の転機が、自分自身やメインショーと向き合うことができたきっかけとなりました。
1度目は都大会当日の朝のリハーサル。亡くなった父のことを思い出し、涙を流しながらランスルーをしたこと。
父とは仲が悪く、常に自分にとっては反面教師のような存在で、大嫌いな父でした。しかし、この日のランスルーでは、地獄・天国・煉獄と3つの場面の中で、地獄でも煉獄でもなく、天国のシーンで父の穏やかな表情が浮かび、涙が溢れました。この出来事が私にとって大きな意味をもっているように感じました。
また、ショーで使用した曲の作曲者、ロバート・W・スミスが昨年9月にお亡くなりになりました。奇しくも自分の父と同じ年に生まれ、同じ年に亡くなった方であることを知りました。この『Rinascere』が「生と死」という大きなテーマであることを自分に教えてくれているように感じました。
2度目の転機は関東大会。
本番の最後、演奏演技を終えポーズをとった瞬間、創立者池田先生と奥様の顔が思い浮かびました。
そして、悲願の全国大会出場を勝ち取り、心に創立者がいれば必ず勝利できることを確信しました。
その一週間後、創立者の訃報を聞き、私は戸惑いを隠しきれませんでした。しかし、私たちの全国大会出場の報告をお喜びになったと知り、創立者が「もうみんななら大丈夫だね。あとは任せたよ。」と仰ってくださっているようで、すごく大きな”期待”を感じました。
そして、私たちには創立者の正義を証明する演奏演技をする使命があるのだと確信しました。
このショーは、”Prideの復活”という意味が込められたショーでしたが、このショーと向き合う中で、生きる希望を見失っていた私が、自分らしさを取り戻し、”復活”したといえる作品になったと実感しています。
そして何より、「生と死」を考えることの多かった一年だったからこそ、このショーが、これからの人生においても「生と死」について向き合い続けていきたいと思える原点となりました。
これからも、Prideで縁してくださった全ての方々への感謝とここで刻んだ原点を胸に、どんなときも希望だけは忘れることなく、私らしく輝く人生を歩んでいきます。
5年間ありがとうございました。
49期 Color Guard 大西紅音
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